原子力発電所について |
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■核分裂と原子力発電 : ホームページ「原子力発電所の種類」より |
原子力の基礎:核分裂について・・ |
原子は原子核と電子からなり、その原子核は水素の場合陽子1個ですが、他の原子では複数個の陽子と中性子からなっています ・ 重い原子核であるウランやプルトニウムが2個の原子核に分裂する現象を核分裂と言いますが、その核分裂の際にはガンマ線等の放射線や中性子を放出します ・ 核分裂を連続的に起こすことを臨界といい、臨界の状態では核分裂で発生した中性子が、別の原子核に衝突し、次々に核分裂を連続的に起こして行きます |
水と制御棒でコントロール・・・ |
中性子の速度を核分裂できるように減速させる必要があり、普通水(軽水)が、または重水、黒鉛なども使用される ・ また核分裂が連続して起こると核分裂がどんどん増えていくので、一定の量になるように吸収するものが必要 ・ この役割りをはたすものが制御棒で、これを全て差し込むと核分裂をとめることができるようになっている ・ また核分裂のエネルギーで水を蒸気にし、タービンを回して発電を行うが、減速のために軽水を使った原子炉のことを軽水炉といいます |
原子爆弾と原子炉の違い・・・ |
ウランなどの核の連鎖反応は同じであるが、違いは利用されるウラン235の濃度が違う ・ 核分裂するウラン235は天然ウランには0.7%しか含まれていない ・ 原子炉用にはこれを3〜5%くらいまで濃縮して利用する ・ これに対して原子爆弾の場合はウラン濃縮度が90%以上で、しかも制御棒のような核分裂を抑えるものがない また減速材などにより核分裂する速度も違うなどあって、発電用原子炉では核爆発が起るようにはなっていない |
原子炉からは放射能が出る・ |
原子力のエネルギーは核分裂によるもので、核分裂では原子が別の2つの原子核になり放射線を出します ・ ウラン238に中性子をぶつけるとプルトニウム239などの放射性物質を生成する ・ プルトニウム239は原子炉の中で核分裂も行い、このエネルギーもウランからのエネルギーとともに利用されています |
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■原子炉の種類 : |
軽水炉・・・・・・・・・・・・ |
減速材に軽水(普通の水)を使用している原子炉であるが、反応を確保するには濃縮されたウランを燃料とする必要がある ・ アメリカで開発され、世界の80%はこの軽水炉タイプである ・ 日本で商用ベースにある原子炉はこの軽水炉タイプである ・ 主な軽水炉には沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)があるが、日本では半々で作られている |
BWRとPWR・・・・・・・・・・・・・・・ |
PWR(関西電力など、製造は主に三菱重工業) ・ BWR(東京電力など、製造は日立製作所、東芝) ・ 後年原子力発電に取り組んだ電力各社もこのどちらかのグループに従っている ・ 東京大学や京都大学には研究用の原子炉があるが、発電用とは全く異なる |
沸騰水型(BWR)・・・・・・・ |
(図説明:ウィキペディアより)
沸騰水型原子炉は核分裂反応の熱で直接軽水を沸騰させ、その蒸気をタービン発電機に送る ・ 原子炉炉心の水蒸気を直接タービンに導くため、耐用年数終了時にタービンも廃棄となるので廃炉コストが嵩む可能性が高い ・ その汚染のため作業員の被爆量が加圧水型よりも多くなる ・ 発電に利用される蒸気が放射能を帯びているため、全ての系を堅ろうに作ってあり、核分裂反応の制御は制御棒や軽水減速材で行われるが、不具合に備え非常用炉心冷却装置を備えている |
加圧水型(PWR)・・・・・・・・ |
(原子力基礎用語集より)
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新型転換炉・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
日本で開発された原子炉で、福井県敦賀市に原型炉「ふげん」ある ・ 続いて青森県大間に建設される予定であったが、高コストのため見送られている ・ 新型転換炉も軽水炉も冷却材に水を使用する点で同じことから軽水炉と言われている ・ しかし新型転換炉は@減速材に重水を使用する(軽水炉では軽水)、A原子炉圧力容器が容器構造になっているのに対し圧力管(燃料の詰まっているパイプ)になっている |
高速増殖炉・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
今後期待される発電炉で、5本の燃料を燃やすと6本の燃料ができるという「夢の原子炉」である ・ 軽水炉や新型転換炉(重水炉)はウラン235を主な燃料としている ・ この場合、放出される中性子はウラン238が吸収してプルトニウムに変るプルトニウムは燃料としては小さくなっている ・ これに対して増殖炉の場合は燃えてできた燃料がより多量の熱量をもつという特徴がある |
核融合炉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
核融合反応を利用したもので、21世紀後半の実用化が期待される未来技術のひとつ ・ 重い原子であるウランやプルトニウムの原子核分裂反応を利用する従来の核分裂炉に対して、軽い原子である水素やヘリウムによる核融合反応を利用してエネルギーを発生させる ・ しかしこれも核融合反応を起こすため起電力を得るために核分裂炉が必要とされている ・ 太陽や恒星が輝きをはなっているのはすべて核融合反応によるエネルギーである ・ 地球上で極めて高い温度か圧力の環境を作り出す必要があり難しい |
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■原子力発電所の利用状況 : |
全発電に占める原発の割合・・・・ |
日本の発電電力量比率は2008年度時点で
原子力発電 ・・・・ 26.0%
石油 ・・・・ 10.3%
石炭 ・・・・ 25.2%
LNG ・・・・ 28.3%
水力発電 ・・・・ 7.8%
その他 ・・・・ 2.4% |
原子力発電必要・増大傾向・ |
全電力に占める原子力発電の割合
17%(1980)→27%(1990)→34%(2000)→29%(2009)→41%(2019) |
石油発電:減少傾向・・・・ |
石油: 2139億KWH/年(1990)→1088億KWH(2005)→545億KWH(2019)
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石炭・天然ガス:変化少・・ |
CO2排出の多い石炭:1198億KWH(1995)→2391(2009)→2290(2019)
CO2少の天然ガス: 1883億KWH(1995)→2774(2009)→2400(2019) |
事故発電所と復旧見通し・・・・・・・ |
水力発電所は22箇所が停止したが、全て復旧した ・ 火力発電所は7ヶ所が停止、東京湾岸の発電所は復旧したがまだ4箇所が停止中 ・ 停止中の火力発電所、広野、常陸那珂、鹿島、東扇島はいずれも新しく60〜100万KWの大きな出力の発電所で、その合計は680万KWにもなる |
原子力発電所の復旧皆無・・ |
停止している発電所の合計発電量は1240万KWであり、火力発電所とあわせると、1900万KWが止まっている状態 (家電Watchより) |
関西、北海道からの支援・・・ |
周波数を変換しての関西方面からの支援は、現在3箇所に周波数変換所があるが、全能力合わせても100万KW程度である ・ 北海道からは海底ケーブルで60万KWが送られ始めている ・ こちらも送電の容量はこれが上限となる |
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■計画停電の見通し : |
今夏の電力需給見通し・・・・・・・・・ |
1日の最大で5500万KW、平均で4800万KWと予想する ・ これは記録的猛暑であった昨年より約500万KW低い ・ これに対して供給できる電力は4650万KWと見ており、850万KW不足する |
復旧と今夏の計画停電・・・・・ |
4650万KWは3月24日時点での3650万KWに比べ、1000万KW高い ・ その復旧見込みの発電所は、震災で被害を受けた火力発電所の復旧や定期点検で活用を行うとしている ・ 現時点ではまだ計画停電については触れられていないが、予想需給ギャップは大きいので、現在以上の大幅な計画停電が実施される恐れがある (3月時点での不足50万KW、今夏予測は850万KW不足) |
冷暖房での電気使用、節約を・・・ |
家庭での消費電力
エアコン・・・・・・・・・・・・・25.2%
冷蔵庫・・・・・・・・・・・・・・16.1%
照明器具・・・・・・・・・・・・16.1%
テレビ・・・・・・・・・・・・・・ 9.9%
温水便座・・・・・・・・・・・ 3.9% |
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■原子力発電関連リンク集 : |
政府・原子力協会・・・ |
首相官邸災害対策ページ ・ 石川迪夫原子力協会最高顧問の緊急レポート |
東電・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
菅首相東電で激怒「撤退すれば東電つぶれる」 ・ 東電の原発と運転状況 |
学会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
原発に関するQ&A(東大教授が回答) ・ 放射線日本分析センター(野口正安ほか) |
話題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
映画「チャイナシンドローム」 |