電力エネルギーを考えよう 原子力・太陽光・風力 
                ( 日本経済新聞7/19〜7/24、他より )

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エネルギーを問う   太陽を利用しよう
風力発電で村おこし
発電コスト
発展途上の再生エネルギー
省エネという電源
 . 原子力利用の限界
核融合計画の誤り
ポスト原子力時代の設計
 . 風力発電の長所
風力発電の短所
風力発電の公害
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  エネルギーを問う    (日本経済新聞7/19〜より)        
               
■発電コスト :             
日本の電力料割高・・・・・・・・・・・・ 日本の鉄鋼業界が支払う電力料金は年6553億円、電子部品業界は3842億円 ・ 現状では韓国、台湾の2〜3倍 ・ その上原発が停止すれば火力燃料費の増加で15%上昇しようという ・ それで海外からの工場誘致が盛んにくるようになっている ・ 原発、火力発電の電力コストを政府も正確にもっていない ・ 日本経済研究センターの試算によれば、原発のコストは1キロワット時当たり5.4〜6.4円とするが、福島原発事故の処理費用を含めると13.3円になる 
   原子力を止めると1.8倍に・・・ 日本の原発による発電量2882億キロワット時をガス火力、太陽光で半分づつ賄うとすると、日本の発電コストは1.8倍の約16兆円に膨らむ ・ 太陽光発電は東京ドーム6つ分の広さで2万キロワット時にすぎず、その広さで火力発電所が発電するとその100倍の発電が可能である ・ 原発分を太陽光で賄うには千葉県分の面積が必要になる ・ とのことで太陽光は脚光をあびるが、もっと現実的な風力、地熱の方が現実的である  
日本電気料金は諸外国より高い・ 2009年度の日本の電気料金は1キロワット時あたり16.0円(家庭用20.5円、産業用13,8円) ・ 1994年に比べて17%低下している ・ 国際エネルギー機関(IEA)の発表によると、産業用の1キロワット時あたりの電気料金は、日本12.5円、韓国4.6円、米国5.4円、フランス8.5円とあり、日本は韓国の2.7倍になっている ・ 韓国は法人税率も低く、産業育成のため政府が電力料金も支援して安く抑えている     
              
■発展途上の再生エネルギー :           
太陽発電はあと20〜30年後・・・・ 現在の太陽光発電による1キロワット時当たりの発電コストは37円〜46円で、天然がすや石炭火力によるコストより4倍程度割高である ・ 現在太陽電池のメーカは中国が一歩リードしており、新制度導入で太陽光発電が増えてもその多くは中国製になるのではとみられている ・ 日本製品の技術革新が待たれる ・ 太陽電池の効率だが、現在中国製が10%であるのに対し、シャープでは実験室レベルで39%を達成、東大・産業技術研究所では60%以上のものを開発中である ・ 20〜30年後になるが、天然ガス並の発電コストになろう  
地熱発電は原発23基分可能性・・ 火山国の日本は地熱発電が豊富 ・ 原発約23基分にあたる2350万キロワットを得られる潜在力がある ・  しかしその8割が開発規制のかかる国立公園内に集中しているため、使えるのは54万キロワットだけ ・ 規制緩和で斜め掘りが許可されたので電力は12倍になると試算されているが、まだ4倍近くが眠ることになる 
風力発電は洋上に16億キロワット 風力発電も日本では適地が少ないとのことで伸びない ・ 環境省は沖合に風車をならべる風力発電が可能で16億キロワット可能であると推定している ・ 問題は漁業権との調整である    
       
■省エネという電源 :          
川上発電分野での省エネ・・・・・・・ 発電所の巨大タービンで、最初の爆発でタービンを回し、残りの熱でまたタービンを回す ・ 既存技術をこの新技術で代替えすれば、エネルギー効率を1.5倍良くできる ・ また近年岩盤層に広く薄く分布するシェールガスの採掘が可能になり、上記省エネと相まって、今後10年は天然ガスの利用が大いに進められそう
川下での省エネをAIで・・・・・・・・・ 一般家庭での節電が「我慢節電」でなく、「賢い節電」がコンピュータを使って行われるようになってきた ・ スマートグリッドにより日中電力使用量を下げる それによりポイントがためる ・ 電力を賢く使うベストミックスの時代になってきている            
   電力利用効率国別比較・・ 日本は「省エネ先進国」と評価されてきた ・ エネルギー消費量を国内総生産(GDP)で割ったエネルギー利用効率は、主要先進国中でもっとも低い(良い)値をしめしている ・ 中国と比べるとわずか1/7である ・ 弐本のエネルギー政策の向上は70年代の石油ショックである ・ エネルギー集約型の鉄鋼、化学、紙パルプなどの産業分野で省エネが進んだ      
        
■10電力の分割 : 
核電力の融通話は皆却下・・・・・・ 東電が中部電力より受けられる電力は100万キロワット、東電全電力の2%である ・ 融通しあわないようお互いにブロックしている ・ 中部電力はトヨタ自動車の電力を自前でまかなうべく、東京電力、関西電力からの融通は受けない仕組みにしている ・ また東北電力で昨年風力発電を募集したが認可されたのは、275万キロワットの応募に対して1/10の27万キロワットだけ、東北電力の電力量は十分で、不安定な風力発電は不要とした ・ 電力を東京電力に融通することを考えれば、まだまだ不足していたのにである    
スマートグリッドに電力会社抵抗・・ スマートメータは電力の需給を調整し、再生可能エネルギーの導入を促すスマートグリッド構築に欠かせない機器だが、電力各社はさまざまな理由を持ち出して抵抗している ・ 異業種が電力事業へ参入してくることには抵抗している          
経産省も発送電分離に抵抗・・・・・ 日本で欧州のように電力の競争環境を整備しようと、経産省は2000年代初めに発送電分離を打ち出したが、電力業界の強い抵抗を受け中途半端な形で終わった ・ 以降経産省と電力会社の協調関係は続いている            
                   
    
  太陽を利用しよう    (森永晴彦著「原子力を眠らせ、太陽を呼び戻せ」草思社刊より)
    
■原子力利用の限界 :          
放射能教育の誤ったアプローチ 生活者は放射能についてよく教えてもらうこと、そしてそばには正しく放射線測定のできるものがあれば安心なのだが、ほとんどそれがなされていない ・ 比較的微量の放射能であるアイソトープが多く医療用に使われるが、アイソトープやX線を扱う医師は測定器や血液検査などでコントロールされ、安心できている ・ 本著書の筆者は原子力関連の仕事をドイツの大学、東京大学でしてきたが、自分のところにいつも放射線測定器があったので怖れはなかっというた ・ ところが原子力関係者は「備えなければ憂いなし」の考えがあり、生活者へ測定具すら配布せず、「怖いから教えない」の方針をみな守っているようだ
核融合計画の重要な誤り・・・・・・・ ノーベル賞の物理部門の受賞者の半分近くは原子力関係である ・ 原子力関連、核物理の本命は核融合であるとされてきている ・ 普通核エネルギーの利用はウラン、プルトニウムなどの核分裂エネルギーである ・ この重たい元素の分裂反応に対して、軽い元素H(水素)の融合でHe(ヘリウム)のできる反応、これは太陽の燃焼、恒星の輝きなど 無限エネルギーに近い核融合である  
   水素爆弾が核融合反応・・・・ ビキニ環礁で実験された水素爆弾、太陽の中心のHよりもはるかに反応しやすい重水素を原爆のエネルギーによって超高温に核反応に誘導するものだが、これを実用エネルギー源として開発しようとしたものが「核融合」である ・ 核融合の燃料:重水は普通の水の5000分の1ほどに含まれていて、水の電気分解で生成される ・ 重水を水から分離するには極めて多量のエネルギーが必要となり、これがネックになっている ・ また反応の過程でトリチウムという物質が生成されるがこれが放射性物質で問題ありである        
   核融合炉は実現するのか・・・ 太陽を地球上に出現させるということは、重水素ガスを1億度の高温に加熱することを意味する ・ こんな高温に耐える容器がない ・ プラズマ処理によるソ連のトカマク装置が有望視されているが、実用段階にはいまだ至っていない ・ あきらめるべきプロジェクトである 
           
エネルギーの長期計画 :         
原子力に代わり太陽光の追究を・ 太陽光エネルギーの利用は様々なメリットをもっている ・ 太陽電池の大量生産が可能になれば大幅にコストを下げられ、採算のあうものにできよう ・ 太陽電池は自己増殖性があり、シリコンとアルミニウムの製造に多量の電気を使いコスト高であるが、自前の電気で安くできれば、益々増やすことができていく        
ポスト原子力時代の設計を・・・・・・ 原子力の技術はわれわれのすべき限界を超え、われわれ自身を全滅させうる可能性をもってしまった ・ 日本の科学技術庁はその大部分の予算を原子力につぎ込んできた ・ 科学技術庁の隠し事も多い ・ 直ちに廃止されたい庁である ・ 低俗な管理者たちの横行で低められてしまった原子力は、荒治療をしないと直らない ・ ポスト原子力時代の設計は科学技術者の自主的な徹底的な現状批判から始まらなければならない ・ そのためには原子力を歴史的に研究するにとどめておくべきと考える           
           
                
  風力発電で村おこし    (「風力発電入門」清水幸丸著・パワー社出版 ほか より) 
■風力発電の長所 :   
環境によい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 二酸化炭素など温室効果ガス排出量の低減を行える ・ 運転用燃料を必要としないため資源エネルギーの節約ができる ・ 冷却水も必要としない ・ 離島などの地域での土地有効活用ができる 
事業化が比較的容易である・・・・・ 設備費用が比較的低く、事業化が容易である ・ 事故や災害の影響を受けにくくメンテナンス費用も抑えられる ・ 工期が短く、需要総量の変動に対応できる
分散設置が可能である・・・・・・・・・ 小型のものは使う場所に隣接して設置ができ、送電設備不要で送電コストを低減できる ・ 個々の設備が小規模で個人でも運用可能である  
   
■風力発電の短所 :  
不安定、不確実・・・・・・・・・・・・・・・ 風の状況により発電量が大きく異なる ・ 風速の変動に伴って、発電量が変動する ・ 落雷、地震などで故障を起こす危険性がある    
公害を起こす・・・・・・・・・・・・・・ 騒音公害と振動による健康被害を起こす可能性がある ・ ブレードに鳥などが巻き込まれて死傷する場合がある ・ 景観が威圧的で、人によっては恐怖心、不気味さを与える    
運用には法的助成措置が必要・・ 現時点では法的助成措置を必要とする場合が多い ・ 風車は年々大型化しており、それに伴いメンテナンス費用もかかってきている  
    
  

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