放射能ごみが暮らしに入り込む (緑風出版、西尾漠著「どうする?放射能ごみ?」より) |
|
|
■放射能ごみとは : |
高レベル放射能廃棄物・・・・・・・・ |
日本では放射能の大小で高レベル、中レベル、低レベルとに分けている ・ 高レベル廃棄物は「死の灰」の溜まった核燃料を再処理した廃液と、廃液を耐熱ガラスと混ぜてステンレスの容器に固めこんだ「ガラス固化体」を高レベル放射能廃棄物と呼んでいる ・ それ以外は低レベル放射能廃棄物としている |
放射能には寿命がある・・・・・ |
原発で燃やされた使用済みの燃料を再処理した後に残る高レベル廃棄物には半減期が何十万年、何億年というものが含まれています ・ それら長寿命の放射能を原子炉で核分裂させたり、加速器で壊したりして、寿命の短い放射能へ変え、早く寿命が終わるようにしようというのが「核のごみの消滅処理」です |
放射能の消滅はできない・・・ |
別の放射能にすることはできるが、放射能はなくならない ・ 寿命の短い放射能は短い寿命のうちにありったけのエネルギーを放出することになる ・ 従って長い寿命の放射能より放射能の強さは大きくなります ・ 実際別の放射能へ原子炉や加速器を使って行うこともされていますが、変換できるのは2〜3割で何度も何度も変換作業をすることにより、かえって別の放射能を増やすことにもなっています |
放射性廃棄物対策の不備・・・・・・ |
原発建設の許可をとる申請書の原子炉等規制法には、放射性廃棄物の後始末については触れられていません ・ 原発の安全審査では後始末のことは対象外にされています ・ 使用済み燃料については、その処分の方法の記載が求められていますが、再処理工場に運ぶと書いておくだけで合格します ・ 施設の解体については、「解体しようとするときに」届けい出ればよく、建設時にはなんら考慮する必要はありません ・ 廃棄物処理法なる清掃に関する法律がありますが、固形物、液状の廃棄物を対象にし、放射性物質は対象外です |
後始末のことは先送り・・・・・・ |
「原子炉の規制に関する法律」が1957年に制定されましたが、1986年にようやく放射性廃棄物の規定が新設されました ・ 放射線被ばくの影響については、「しきい値」(影響がでる最低の線量)というものがあり、それ以下なれば影響がでないと考えられ60年当時海洋投棄の志向がつよまります ・ 78年には原子炉規制で「保管廃棄」なる造語がつくられ、無期貯蔵の状態が続くようになり ・ 放射性廃棄物の海洋投棄は83年ロンドン条約国際会議で、凍結となりました |
後始末、今どのようにされているの |
放射性廃棄物には気体、液体、固体があります ・ 気体も液体も、短い寿命の放射能が減るまで一時貯蔵し、ある程度の放射能をフィルターで取り除いた上で、換気や温排水などで薄めて放出しています ・ 事故が起これば大量の放射能が飛び出しますが、事故などが起こらなくても、原発が稼働することで毎日少しづつ放出される放射能は確実に周辺の環境を汚染しています |
液体廃棄物と個体廃棄物・・ |
液体廃棄物の一部は蒸発処理が行われ、蒸留水は再利用されたり、排水口から海に放出されたりします ・ そして後に残った濃縮廃液は、セメントやアスファルト、プラスティックなどと混ぜたり、乾燥させてプラスティックといっしょに粒にしたりしてドラム缶に固め込まれ、固体廃棄物になります |
レベル高もの程捨てやすい・ |
廃棄物の処分方法には管理型と隔離型とがあります ・ 低レベル廃棄物はプラスチックシートで包むだけでごく浅い素掘り処分(トレンチ処分)されますが、30年から40年の管理で済むとされています(六ヶ所村の管理期間は300年) ・ 一方隔離型の方は、地下深くといった人間の活動環境から隔離されたところに処分し、人間環境に届かないように処分するものです ・ 高レベルの放射性廃棄物は深く処分されます |
|
|
■高レベル廃棄物は怖ろしい毒物 : |
高レベル廃棄物とは・・・・・・・・・・・ |
核燃料を燃やすと、燃え残りのウラン238、燃えカス235、中性子を吸収してできるプルトニウム239などができます ・ これら燃え残りのそのまま放射能毒性の強い、高レベル廃棄物となります ・ 再処理するとこの高レベル廃棄物は硝酸にとけた液体になり、この硝酸を蒸発させて耐熱ガラスに混ぜ、さらにステンレス容器に固め込みます ・ この高レベル廃棄物のガラス固化体には1つ当たり、広島原爆の100倍の放射能が含まれています ・ このそばに30秒立っているだけでショック死するという怖い値です |
どれほど溜まっていくのか・・ |
100万キロワットの原発を1年間動かすと、このガラス固化体は30本ほどできます ・ 日本には5000万キロワットもの原発がありますから、全部稼働するとしたら50倍、1年間に1500本となります ・ しかし実際には東海村の再処理工場などに数百本分が液体として溜まっており、ガラス固化体になっているのは2003年では130本だけでした |
地層処分はどのようなものか・・・・ |
高レベル廃棄物は、30年から50年の間貯蔵して、放射能の量が少し減り、熱も半分ほどになるのを待って地下の深いところへ埋め捨てようというのが政府や電力会社の考えです ・ 深い地層に処分したあとは、何もしなくてよいというのが地層処分の推進論です ・ 海洋深く投棄する意見もありましたが、原子力委員会の方針は地層処理となりました ・ しかし地表管理が安全との意見も出されています |
ごり押し地層処分法律制定・ |
政府や電力会社などはあくまでも地層処分に固執し、その安全性は確保できると主張 ・1999年11月に核燃料開発事業団が原子力委員会に提出した「高レベル廃棄物の地層処理の技術的信頼性の報告書」が根拠になっています ・ 不確実なデータから、安全ありきの恣意的な作文報告書である ・ そんな報告書をもとに2000年5月「廃棄物最終処分に関する法律が成立してしまいました ・ 原子力発電環境整備機構が設立され廃棄の運営にあたっています |
裏がみえみえの公募と調査・・・・・ |
2002年より処分場候補地の公募が始まりました ・ 処分場調査といわず、精密調査地区といったり、応募しただけで2億円、調査地区になると20億円の交付金が支払われるようになったりで、反対運動を回避すべく算段されています ・ 炭鉱跡地などが名乗り出ている ・ 候補地にチョッと申したい |
処分しないとしたらどうする・・・・・ |
どこもかしこも反対したらどうする ・ 必要なことは放射性廃棄物を増やしてでも原発を続ける方がよいかの議論です ・ アメリカでも核の守護倫理の運動がある 市民、企業、政府などのすべての当事者は核廃棄物の保管に強い意志と注意力が必要 ・ 聖域にも近い関与は人間になしうるとしている |
|
|
|
|
再処理核燃サイクルの行く末 (創始社刊、山田清彦著「下北核半島危険な賭け」より) |
|
|
■核燃サイクルとプルトニウム : |
プルトニウムのリサイクル・・・・・・・・ |
原発で使用するウラン燃料の製造、原発で使用した核燃料のリサイクル、放射性廃棄物の処分、これら一連の流れを核燃料サイクルといいます ・ 原発に装荷したウランは、ウラン235が3〜4%だが、これに中性子をあてると、核分裂を起こして熱を出します ・ この分裂の過程で中性子が飛び出します ・ これがウラン238にあたってネプツニウム239に変わり、ベータ線を出してプルトニウム239に変わります ・ このプルトニウム239はウラン235よりも容易に核分裂を起こします ・ このプルトニウム239を再処理工場で抽出して、これを原発の燃料にします |
高速増殖炉開発難航・・・・・・ |
使えないウラン238から使えるプルトニウム239への転換は魅力だったのですが、使用済み核燃料の再処理で取り出せるプルトニウム239はわずか1%です ・ その抽出技術が難しいし、放射性廃棄物の処分が難しい上に、肝心のプルトニウム239を燃やす高速増殖炉の開発に失敗しています |
日本かたくなに再処理推進・ |
核燃料サイクルから撤退した国々では、使用済み核燃料は廃棄するだけですが、日本は使用済み核燃料を再処理する技術の選択をかたくなに維持しています ・ 取り出したプルトニウムを発電に利用する、福島のプルサーマル発電、敦賀のもんじゅですが、もんじゅ高速炉は本格運転にはまだ至っていません |
プルサーマル発電・・・・・・・・ |
高速増殖炉開発の行き詰まりに対する現在の切り札は、ウラン燃料を使ってきた原発でMOX燃料(ウランとプルトニウムの混合燃料)を燃やすというものです、プルサーマル発電といいます ・ 福島第一原発三号炉がプルサーマルです |
溢れ出るプルトニウム・・・・・・・・・・ |
使用済み核燃料の再処理を六ヶ所村、イギリス・フランスに委託でプルトニウムが返還されたりできてきたりしますが、プルトニウムを使うあてがなくなると、廃棄処分ほか問題が残ります |
|
|
■ウラン濃縮工場の危険性 : |
もんじゅ、プルサーマル発電については 次の次回(10月1回目)で記述します |
■再処理工場の事故と危険性 : |
下北半島再処理と原発解体については 次の回(9月2回目)に予定。 |