原発事故Q&A (元日本原子力研究所の方にご教示いただいたもの、日本放射線影響学会ホームページのもの の要約です) |
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■原発からの排出されるもの : |
建屋内ガスの放射性物質・・・・・・・ |
報道されている線量はすべての放射性物質(核種)からの放射線によるもので、ヨウ素-131(I-131)とセシウム-137(Cs-137)によるものでしょうが、セシウムは揮発性の高い元素なので環境に放出されやすくなります ・ ストロンチウム90は今回の事故が原子炉の爆発ではありませんので、殆ど放出されません |
汚染水の放射性物質と放射量・・・ |
細かいところは報道されていませんが、ヨウ素-131(I-131)とセシウム-137(Cs-137)であることは確かでしょう ・ 東京電力は3月28日、福島原発1〜3号機のタービン建屋外の地下トンネル(立坑)にも高濃度の汚染水がたまっていることを確認したと発表した。最も汚染がひどい2号機では水たまりの表面から毎時1000ミリシーベルト以上の放射線を観測している (参考ホームページより) |
3号機炉からは毒性高いガスが・・ |
福島第1原発の6つの原子炉のうち、3号機炉はプルサーマル原子炉である ・ この原子炉では、ウランとプルトニウム239の混合物MOX燃料が使われている ・ このプルトニウムはアルファ線を出す、最も放射性毒性の高いものである ・ 原子力発電の過程で生成されるものであるので、今回の事故ではMOX燃料の使用済み核燃料とだけしか報道されていない ・ 今3号機から水蒸気とともに飛散しているのはプルトニウムも微量入っている ・ この露出したMOXからは何もしなくともアルファ線が放出されている |
プルトニウムで内臓損傷・・・ |
プルトニウムは体内被曝の場合、体の表面や内臓を損傷させる人体に最も強い毒性を持っているといわれる ・ 広島の原爆がウラン235、長崎の原爆がプルトニウムでした ・ プルトニウムは紙1枚で遮蔽できるからと報道では安全サイドに言っているが、半減期24000年で人体に入ってしまうと恐ろしい ・ 原発反対派の人は、このプルトニウムを取り上げるが、プルトニウムは体に入っても直ぐに排出されるので大丈夫との考えをもつ人も多い 3号機炉はプルトニウム危険度はあるが、健康に影響するものではないとする意見もある |
ヨウ素137は体内につく・・・ |
多くの放射性物質は体内に取り込まれても体外へ排泄されますが、ヨウ素131は甲状腺に、セシウム137は筋肉に滞留しやすいものです ・ セシウムは半減期が30年と長いですが、糞尿などで排出され100〜200日でなくなっていきます |
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■放射能についての学習 : |
線量と線量率のちがい・・・・・・・・・ |
一定時間当たりの線量を線量率といいます ・ 年などの長期間の線量を短期間に受ける、総被ばく量が同じでも、同じ量を短期間に一度に被爆する方が影響の程度は大きいと報告されています ・ 原発周辺の作業員は短期間で交替していますが、大きな影響を受けているものと思われます |
放射線 体表汚染・被ばくのちがい |
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放射線の安全規制値の決め方・・ |
過去50年の原爆被爆からの調査や放射線生体研究調査などから、国連や国際放射線防護委員会(ICRP)が解析し導き出されます ・ これを受けて各国が自国の判断で規制値を作成します ・ 線量限度は一般の人に対して年間1ミリシーベルト、放射線業務従事者に対しては年間20ミリシーベルトとされています |
どれほどの放射線量で被曝か・・・ |
チェルノブイリでは30京ベクレルのヨウ素ー131が放出され、甲状腺がんが多発した ・ 人がヨウ素を吸収する経路は牧草→牛→牛乳→人の食物連鎖が起こるが、牧草地1平方メートルにヨウ素-131が1,000ベクレル沈積すれば、牛乳1リットルに900ベクレルが含まれると推定されている ・ またチェルノブイリでは、広い地域が1平方メートルあたり50万ベクレル(5.0×10の5乗Bq)以上のセシウム-137で汚染された ・ そのような場所では、セシウム-137のみから1年間に1ミリシーベルト以上の外部被曝を受ける ・ これは年間10ミリシーベルトをはるかに超える被曝を受けたことになる ・ ふつうの人は、そこに住むことはできない |
ベクレルをシーベルトへ・・・・ |
牛乳1リッター900ベクレル(Bq)をシーベルト(Sv)に換算する
ベクレルの値にヨウ素131の実効線量係数(経口摂取の場合)
2.2×10の-8乗 をかける
900Bq/L × 2.2×10の-8乗Sv/Bq = 0.0198mSv/L
ということになる ・ 毎日飲み続けると大きな値になる
ベクレルは1秒当たりで定義されている単位ですが、換算されたシーベルト値は体内に取り込んだ放射性物質が体内に存在している間に人体に影響を及ぼすと思われる線量である
線量の積分期間は、作業者および成人の一般公衆で50年、子どもでは摂取した年齢から70歳までずっと被ばくし続けるとみます ・ しかし摂取した放射性物質は時間とともに減少しますので、長期間でみると堆積していくことにはなりません
実効線量係数(Sv/Bq)(経口摂取の場合)は以下の値を使用しています。
ヨウ素131 は 2.2×10^-8
ヨウ素133 は 4.3×10^-9
セシウム134 は 1.9×10^-8
セシウム136 は 3.0×10^-9
セシウム137 は 1.3×10^-8
プルトニウム238 は 2.3×10^-7
プルトニウム239 は 2.5×10^-7
プルトニウム240 は 2.5×10^-7
ストロンチウム89 は 2.6×10^-9
ストロンチウム90 は 2.8×10^-8
上記は成人に対する値である |
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■住み続けることでの心配 : (日本放射線影響学会より) |
高濃度放射線地域に住むと・・・・・ |
10マイクロシーベルト/時以上観測の地域に1年間住み続けると、87ミリシーベルト/年になります ・ 建屋内に入っていれば1/4から1/100になりますし、現在検出されている放射性物質の多くは寿命の短いもので、今後事故が収束すれば環境中の放射線量は下がっていきます ・ 10マイクロシーベルト/時は心配のない値です |
20Mシーベルト以上は避難地域・ |
原発から20km以遠でも積算線量が20ミリシーベルト/年を超える可能性がある地域を「計画的避難区域」と設定しました(国際放射線防護委員会(ICRP)と国際原子力機関(IAEA)の勧告する放射線防護基準値20〜100ミリシーベルトを考慮して決定) 首相官邸ホームページ(計画的避難準備区域) ・ 自主的避難を求めていますが、これはかえって混乱を招くことになっています |
福島市、郡山市大丈夫か・・・・・ |
この地域は1〜3マイクロシーベルト/時が続いています ・ 年間で8.76〜26.28ミリシーベルトになりますので、直ちに健康への影響というものはないですが、屋内での授業・クラブ活動が勧められます ・ そして内部被ばくを避けるため、手洗いや洗顔、うがいの励行の習慣がお勧めです ・ 土ほこりの飛散の対処法としては、水まきや防塵剤である塩化カルシウム、キープウェットなどの散布も有効と考えられます |
避難地域は住めるように・・・・・・・ |
除染作業を行えば復帰できるところは多くあると思われる ・ 津波被災地としての復旧もあるので相当な困難は伴う |
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■がんへの心配 : (日本放射線影響学会より) |
放射線によるがんのリスク・・・・・・・ |
広島、長崎での原爆被爆者の調査によると100ミリシーベルトをがん発生率が0.5%程度上積みされると推定されます ・ 放射線がなくても30〜40%はがんで死亡しますから、放射線による死亡確率は0.4×0.005、すなわち0.2%です ・ がんの死亡要因別割合を下図にします |
がんの原因別割合・・・・・ |
「知っていますか放射線の利用」 :岩崎民子著、丸善 より |
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■水が心配 : (日本放射線影響学会より) |
汚染されたとの水道水大丈夫?・ |
3月22日金町浄水場の水道水のヨウ素131濃度が210ベクレル/kgと報告されました ・ 我が国の飲料水の放射性物質の濃度暫定基準300ベクレル/kgを下回ったものの、幼児に対する基準値100ベクレル/kgを超えていたため、一部地域で摂取制限が行われた ・ 国際放射線防護委員会(ICRP)はヨウ素131の成人の場合の換算値を0.022マイクロシーベルト/ベクレル、乳児の場合は0.18マイクロシーベルト/ベクレルと定めています ・ 成人は2.2リッター/日を飲むとしますと、10マイクロシーベルト/日であり、問題になる数値ではありません |
赤ちゃんへの母乳大丈夫?・ |
日本産科婦人科学会からの「水道水について心配しておられる妊婦・授乳中女性へのご案内」 |
練馬区区役所の発表数値・・ |
練馬区内で栽培されている野菜の放射能濃度 ・ 各浄水場の放射能濃度検査結果をグラフ化しています |
井戸水や水道水は大丈夫?・・・・ |
雨が地下水の層に達するまでには2〜3年かかる ・ その間に半減期が8日と短いヨウ素131は減衰してなくなってしまう ・ セシウム137のような陽イオン核種は、土壌と強く結合するので、雨水の1/1000の速度でしか浸透しません ・ そのため半減期が30年のセシウム137でさえも、大部分はなくなってしまいますので井戸水には出てこないでしょう ・ 従って河川水を原水としている水道水よりも、地下水の方がはるかに安全といえます |
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原発事故の収束工程表 |
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■工程表の概要 : ・・・・・・・・・ |
(日本経済新聞4月20日より) ステップ1(〜3か月)プール注水・浄化・冷却設備の設備設置(放射線量を抑え込む) ・ ステップ2(6〜9ヵ月)核燃料を100℃以下にして放射性物質を閉じ込める(放射線量を確実に管理された状態におく) ・ 余震、台風などと高い放射線内での作業がリスクとしてある |
汚染水の処理がかぎ・・・・・・ |
汚染水対策は事故収束に向けての工程表実現に欠かせないが、移送を終えるには順調にいって数か月かかろう ・ 1・2号機各2万5000トン、3号機2万2000トンを排出、再処理しなければならない ・ 1〜3号機には応急的に冷却するため、毎日480トンの水が注入されており、新たな汚染水になってくる |
仏アレバ社が協力・・・・・・・・ |
放射性物質を吸着する化学物質を組み合わせ、大量の汚染水を処理する技術「凝集沈殿法」をもっている ・ 同社は世界最大の原子力関連の総合企業 ・ 仏政府や原子力庁など政府関連機関の持ち株が9割を超える、事実上国営の企業である ・ 日本にも低濃度汚染水の洋上処理システムはあるが処理能力が7000tと小さい ・ アレバ社のものは大量の処理能力があり、期待される |
■この工程表、希望的観測までだ : |
危険な作業出来るのか疑問・・ |
泣いて送り出す作業員家族の話 ・ 18日2号機の使用済み燃料プールからセシウム137が1立方センチあたり16万ベクレル、とてつもない高い値を示しており、作業者は立ち入れない状況にある |
溢れるお潜水の処理大丈夫か・・ |
詳細作業内容 ・ 2号機の圧力抑制室が壊れており、この破損箇所をみつけ、修理することが、上記環境下でできるのか難しい |
地震も心配・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
1、3号機も格納容器がいっぱいになっている ・ 圧力抑制室が地震で破損していたから水素爆発が起こってきている ・ これからもくるであろう地震に耐えられるかが心配 (週刊誌 Friday5/6より) |
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