余計な心配をせぬように、正しい知識を (週刊ダイヤモンドより) |
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■暫定規制値判別により市場混乱 : (週刊ダイヤモンド4/23特集:食を守るより) |
食品業界への打撃深刻・・・・・・・・ |
ホウレンソウから始まった放射能汚染は、水、魚介類に及び、農産物や水産物の風評被害、水や食品の買い占めを招いている ・ 外食産業は自粛ムードや食品の放射能汚染の影響から脱していない ・ また東北や首都圏では、農業、水産業、食品加工業が被災し、今でも東日本の広い範囲で食糧の品薄状態が続いている ・ スーパーなどでは自社検査、返品などの動きが出ている |
「ただちに影響がない」との言葉・・ |
「ただちに」というものほど今回混乱させてしまった言葉はない ・ 食品の安全基準をきめる食品安全衛生法上で行政が規制する数値と、実際に健康被害が出始める数値の間に大きな隔たりがあり、明確な表現ができていない |
国際放射線防護委員会数値・ |
当委員会(ICRP)によると、外部被ばく内部被ばくをとわず、発がんリスクが高いとされる最低値は100ミリシーベルト/年である ・ これ未満の線量では喫煙や食生活での影響の方が大きく、判別できないとしている ・ 人間は自然にあっても、2.4ミリシーベルト/年程度の放射線は受けている ・ 食品の暫定規制値が極めて安全サイドであり、これによって食品の選択をしているので、余計な混乱を招いている |
暫定規制値なら全く大丈夫・・・ |
飲料水:300ベクレル/2L(暫定規制値)×365日=成人3.5ミリシーベルト/年
幼児16.4ミリシーベルト/年 << 100ミリシーベルト/年 全く大丈夫
魚介類:2000ベクレル/200g ( 〃 )×365日=2.3ミリシーベルト/年
幼児11ミリシーベルト/年 << 100ミリシーベルト/年 全く問題ない
仮に暫定規制値の10倍の濃度の魚介類(200g)を1年間食べ続けたとしても23.4ミリシーベルト/年にとどまる計算である
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■魚や肉は本当に安全なの? : (週刊ダイヤモンド4/23特集:食を守るより) |
消費者には正しく知識をが必要・・ |
もっとも暫定であるため想定外の事態も発生している ・ 4月上旬茨城県沖のコウナゴ(イカナゴの稚魚)から高濃度のヨウ素が検出されたが、半減期間の短いヨウ素の場合には暫定規制値が設けられていなかった ・ 消費者も知識を身につけ、正しく怖がることが必要である |
Q&A(1)
放射線の健康への影響・・・・ |
その影響は大きく分けると2つある 人体にでる「身体的影響」 と 子孫に出る「遺伝的影響」である
身体的影響には「急性障害」と潜伏期間を経てから発生する「晩発障害」がある
急性障害は一度の1000ミリシーベルトをあびると吐き気・おう吐、7000ミリシーベルトで全員死亡
晩発障害では、がんや白内障などがある(原爆被爆者12万人の追跡調査によれば) ・ 200ミリシーベルト以上を受けた場合には、放射線量が増えるにつれがんになる人が増えることが判明している
健康被害が出始めると予測される最低値は100ミリシーベルト以上、胎児では50ミリシーベルト以上と考えられている |
Q&A(2)
放射性物質食べての影響・・ |
現在暫定規制値を超えた飲食物は市場に出回らないようになっている(厚労省指標で) ・ たとえば飲料水や牛乳では、1Kgあたりでヨウ素が300ベクレル以上・セシウムが200ベクレル以上 ・ 野菜や魚はヨウ素が2000ベクレル以上、セシウムが500ベクレル以上だと出荷できない |
計算根拠と安全度・・・・・・・・・ |
計算基準は原子力委員会が定めたものであるが、一定量の飲食物を1年間取り続けた場合、ヨウ素の甲状腺での線量が50ミリシーベルト/年、セシウムの全身での線量が5ミリシーベルト/年を超えないように算出された数値となっている ・ 健康被害が出始めるとされる100ミリシーベルト/年(11.4マイクロシーベルト/時)、胎児では50ミリシーベルト/年に対して、基準値である野菜・魚:ヨウ素2000ベクレル/Kg(1.17ミリシーベルト/100g・年)、セシウム500ベクレル/Kg(0.237ミリシーベルト/100g・年)は極めて安全サイドにあるといえる |
ベクレル→シーベルト換算式 |
ヨウ素131の場合:
汚染度合(ベクレル/Kg)×(摂取量g)/1000g×年間日数×係数=被ばく量(ミリシーベルト/年)
ここでの係数値は下記である(食品安全委員会のもの使用)
ヨウ素131: 成人0.000016 幼児0.000075 乳児0.00014
セシウム137: 成人0.000013 |
4月8日コウナゴ報道・・・・・・・ |
この日コウナゴが4080ベクレルのヨウ素が検出されたと報じられたが、
4080ベクレル/Kg×100g×30日×0.000016=約0.2ミリシーベルト/30日
となり、100gを1か月食べ続けたとしても、わずか0.2ミリシーベルトであり
100ミリシーベルト/年よりもかなり低く問題になる数値ではない
ベクレル→シーベルトの大凡の暗算方法であるが、
2000ベクレル/Kgを → 100g、30日あたり 0.1ミリシーベルト
乳児はその10倍で1ミリシーベルト と覚えておくとよい |
Q&A(3)
ヨウ素やセシウムだけなの・・ |
暫定規制値にはヨウ素やセシウムだけでなく、ウランやプルトニウムも含まれている ・ ウラン、プルトニウムは下記するように半減期が長く、がん発生率も高いので危険である ・ またこれらのほかにもストロンチウム90が懸念される ・ 懐中からはストロンチウム90とバリウム140が見つかっている ・ 体内ではセシウム137は70日で半減するが、ストロンチウム90は18年と長い ・ しかも骨に溜まりやすくがんの原因になる ・ 今後はこれらも含め規制化していく必要があろう |
規制対象物質と暫定規制値・ |
飲料水、牛乳、乳製品:
放射性ヨウ素・・・・・・・・・・・・・・300ベクレル
放射性セシウム・・・・・・・・・・・・200ベクレル
ウラン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 ベクレル
プルトニウム・超ウラン元素・・・
1 ベクレル
野菜、魚、肉、卵、穀類など
放射性ヨウ素・・・・・・・・・・・・・・2000ベクレル
放射性セシウム・・・・・・・・・・・・500 ベクレル
ウラン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100 ベクレル
プルトニウム・超ウラン元素・・・・10 ベクレル |
ウラン、プルトニウムは発がん大 |
ウラン235の半減期は7億年、プルトニウム239は2万4千年と非常に長い ・ しかもプルトニウムは発がん性が高く、暫定規制値もより厳しい水準になっている ・ それでも、ヨウ素やセシウムが観測の中心になっているのは、プルトニウムが炉心内部にあるのに対し、ヨウ素やセシウムは揮発性が高く、大気中に広がりやすいからである ・ そして大気中に広がったこれらは、常温で固体化し大気中のチリや埃に付着し降り注ぐため、汚染が広範囲に広がる恐れがある |
Q&A(4)
汚染の海の魚は大丈夫?・・ |
従来は「海は海水の量が多く、流れもあり、放射性物質が海中に放出されても魚への影響はない」考えられていた ・ 通常汚染物質の魚体内への蓄積は、プランクトンを小さな魚が食べ、より大きな魚が捕食するという連鎖によると考えられていた ・ そしてそれらも体内から排出されると考えられていた ・ 特にヨウ素については半減期が8日と短いこともあって、魚を通じた人体への影響は少ないとみなされていた ・ しかし原発から70Km離れた場所で捕獲されたコウナゴから4080ベクレルもの(暫定規制値2000ベクレル/Kg)高濃度のヨウ素が検出されたことは、専門家にとってこれまでの常識をくつがえす衝撃であった |
今後も注意が必要・・・・・・・・ |
これは可なり限定されたところに、そうとうな量の放射性物質が滞留していた可能性がある ・ 高濃度の放射線物質に汚染された水の放出が続いていたために、魚が直接体内にい取り込むことになり、汚染が続いていたものと推測される ・ 今後は一定のエリアにとどまる海草や貝類などへの影響も懸念される ・ 現在は高濃度な汚染水の放出は止まっているが、さらに広範囲での調査が必要になってくる |
Q&A(5)
肉類・たまごはどうなの?・・ |
当初、ホウレンソウなど、葉物野菜から多くの放射性物質が検出されたのは、ヨウ素などが大気中の細かい粉塵と一緒に空中から落下して葉の表面に付着したためと考えられている ・ よって畜舎内で飼育されている牛肉や豚などの家畜の場合、放牧されている乳牛に比べて、大気から落下する放射性物質による汚染の影響は少ない筈 ・ しかし、実際にビニールハウス栽培の野菜からも放射性物質が検出されている事実を考えれば、肉や鶏卵んども油断はできない |
長い目でしっかり監視要・・・・ |
チェルノブイリ原発事故で、欧州から輸入されたトナカイの燻製やビーフエキスからも輸入の基準値370ベクレルを超えた食品が見つかっている ・ 事故から23年経過した2009年でさえこのような検出があるので、長期にわたってのしっかりとした監視が必要である |
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水道水は大丈夫? |
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■乳児は水道水を飲まないでと言われているが : (朝日新聞3月25日より) |
規制値300ベクレルについて・・・・ |
各地の水道水から1リットルあたり100ベクレルを超える放射性ヨウ素が検出された ・ 大人は300ベクレルが規制値だが、乳幼児の規制値を超えるものである ・ 放射性ヨウ素は甲状腺に溜まりやすく、がんを発症する危険性がある ・ 甲状腺に溜まっても健康に影響がないとされるレベルが300ベクレル(原子力委員会が設定)である |
参考になるサイト・・・・・・・・・・ |
日本医学放射線学会 ・ 日本産科婦人科学会 |
赤ちゃんは大量の水を飲む・・・・・ |
乳児は1歳未満であるが、毎日粉ミルクを飲む場合に規制値にかかっていないかが問題になる ・ 0歳児は体重の80%が水分 ・ ミルクを飲むピークは生後6か月の頃で、体重8キロ程度の子が一日に1リットルは飲む ・ 成人でも1日には1.5リットル程度なので赤ちゃんにとっては多い量である |
粉ミルクの場合の注意・・・・・・ |
粉ミルクは水道水で溶くことを想定して成分にミネラル分を加えてある ・ 赤ちゃんは大人に比べて血液成分の調整力が弱く、ミネラル分がたくさん体に入ると腎臓に負担がかかる ・ このためメーカでは、ミネラルウォーターで粉ミルクを溶くことを控えるよう呼び掛けている ・ 軟水ならば大丈夫なので、水のラベルをよく確認してほしいと注意している |
母乳を飲む子の母親への注意・・ |
現状程度の放射性物質の濃度なら連日飲んでも母親にも赤ちゃんや胎児にも影響ないと産婦人科学会は発表している ・ 母乳中に出てくる放射性ヨウ素は、お母さんがとった量の4分の1程度だとされている ・ 今回検出された数値よりも濃度が高い500ベクレルの水道水を40週間の妊娠期間中毎日飲んだとしても、被ばく量は約3ミリシーベルト ・ これは影響が出るとされる50ミリシーベルト/年よりもかなり低い値である |
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■料理は?歯磨きは?うがいは?: (朝日新聞3月25日より) |
乳児でなければ問題ない・・・・・・・ |
粉ミルクに頼る乳児は上記のようで注意する必要があるが、そうでない幼児、成人は問題でない ・ 日本医学放射線学会は、水道水が規制値を超えたからといって、こどもの調理だけ別の水にする必要はないと呼び掛けている ・ 歯磨きやうがいなら、直接体内へはいるわけではないので、同様に心配はいらないといっている |
濾過すれば下がるが実効性?・・ |
ヨウ素除去をうたう浄水器はあるが、効果はわからない ・ 東京都水道局は今回、対策として浄化の過程で通常の4倍の粉末状活性炭を混ぜて濾過している ・ ヨウ素の数値は下がっているが、実効性は不明である |
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