自然エネルギーを拒む政官業 |
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■電力権益構造の戦い : |
菅首相の狙い・・・・・・・・・・・・・・・・ |
退陣要求をつきつけられた菅首相は「再生可能エネルギー特別措置法案」の成立にむけ、首相の座にしがみついている ・ 自然エネルギーを固定価格で買い取って普及を促そうとの訴えである ・ 首相のこだわりは自然エネルギーの普及を阻んで地域独占を守ってきた電力会社、霞が関、自民党の「電力権益」体制をこわすことにある |
1980年より風力発電で葛藤・ |
1980年菅首相は初当選して間もなく、三宅島の風力発電をみて、衆議院の技術委員会で初めて質問に立ち、「風力発電は無限に再利用できる、未来永劫、エネルギー問題に展望が開ける」と普及を訴えた ・ だが自民党の中川一郎科学技術庁長官は「原子力はいらないという口実に利用する、悪乗りのないように」とにべもなかった ・ その後東電は三宅島のプラントは採算性が悪いと結論を出し、6年余で撤去した |
最近は静かにしていたのだが |
菅は2003年総選挙で民主党の代表として自然エネルギーの買い取り制度を公約に掲げたが、過半数を獲得できなかった ・ そして2009年の総選挙でも公約し、今年のおりしも3月11日午前、法案の閣議決定にこぎつけた ・ だだ首相になった後は消費増税への強い意欲とは対照的に、自然エネルギー政策を看板にかかげることはなく、原発輸出もして「電力権益」側との正面衝突をさけている |
震災後はチャンスと息巻いている・ |
5月6日には中部電力浜岡原発の再稼働中止、5月10日には政府のエネルギー計画を「白紙」と明言し、「発送電分離」に踏み込んだ ・ そして26日のG8サミットでは1000万戸に太陽光パネル設置する構想を打ち上げた ・ 6月1日の管おろし投票へとすすむと、東電・経済産業省の浜岡原発ほか原発巻き返しも復活 ・ しかし今やこの問題は首相の進退、政争の問題を超えて国民が選ばなければならぬことへと発展している |
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■電力会社は風力発電参入を拒む: |
電力会社は風力はやりたくない・・ |
日本で風力発電が建ち始めたのは1990年代 ・ 先行したベンチャー企業に続き、大手企業からも送電網につなげたいとの要望がわきあがった ・ 99年の北海道電力をかわきりに7電力会社が導入量に制限をかけた上で、抽選などで事業者を間引いてきた ・ 電力の需給のバランスをとりにくくなるので間引いていると説明する ・ 北海道、東北、九州は風がふくので、その分を東京、関西電力へ回せば良いのだが、国会でも取り上げられたが一向に進まない ・ 欧州では国間でやりとりしているのにである ・ 日本の電力会社は事故権益を守り風力はやろうとしない |
送電線が足りない・作らない・ |
「大規模集中型」日本の電力システムは、原発などの発電所からは太い送電線が延びるが、需要の少ない場所ほど細くなる ・ 北海道宗谷岬周辺では日本有数の風の吹く場所なのに、送電線が細く、新規の風力発電を受け付けていない ・ 自然エネルギーを増やしたくても、そこへの送電線を増やすかは電力会社の判断にゆだねられている ・ 北海道から新潟まで風の吹くこの一帯に、送電線インフラがあればと風力発電推進者は願うのだが、動きがにぶい |
抽選も設備要求も厳し過ぎ・ |
1億円投じて抽選会に応募するも、くじ引きに当たらず敗れるという例もしきりである ・ 年1回のくじびきが導入されたのは、殺到する応募を公正に処理するためだという ・ 審査に手間をかけたくないとの事情があるためだ ・ 100件に5件しか当たらないようであり、当たっても過分な設備要求を電力会社がしてくるので、実際に実施できる企業はごく僅かであるという |
発送電分離とは・・・・・・・・・・・・・・・ |
発電の技術が進み、小規模でも効率よく電気を供給する方法が近年生まれた ・ そこで送電と発電の部門を分け、発電事業の新規参入を認めて競わせれば電力料金を下げられるとの考え方が出てきた ・ ほぼすべての先進国kと、中国やインドなどはすでに採用している ・ 欧州ではそれによって、政府が決めた自然エネルギーの普及策が繁栄しやすくなった |
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■原発発電コスト安さの虚構 : |
発電コスト(経産省の公表値?)・ |
経産省のエネルギー白書によると、原子力の発電コストは1Kw時あたり5〜6円、液化天然ガス火力は7〜8円、水力は8〜13円、ところが風力は10〜14円、太陽光に至っては49円もかかるとある |
原発のコストの真の値は・・・・ |
ところが電力の開発費や使用済み核燃料の再処理費用などを加えると、原子力は10.68円、火力は9.90円、水力は7.26円となる ・ 原発の開発費には各自治体にわたる交付金が多額にある ・ 原発1基で運転開始までの10年間に、地元にま449億円が落ちる ・ 運転後も出るこの交付金は、全国に50基以上の原発を建設する原動力となった |
賠償も上乗せ・・・・・・・・・・・・・・ |
政治家は国民にお願いするとき、税金UPと電力料金では、間違いなく電力料金となる ・ 電力料金は東電の報酬と原発などの建設費(1基あたり3〜5千億円)から計算される、総括原価方式になっている ・ 今回の原発事故にともなう損害賠償費用も電気料金の中に入れられる可能性がたかい |
今後廃棄処理費用も上乗せ・・ |
原発のコストは東電の原発事故をうけて益々膨張しかねない ・ 原発の廃炉には30年以上かかり、1基数百億円といわれる ・ 核燃料のごみである「高レベル放射性廃棄物」を地中深く埋める事業には最低でも100年の歳月がかかる ・ 費用は兆円単位、生命に影響を及ぼさなくなるのは数万年単位といわれる ・ 最終処分場の場所選びも進んでいない |
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自然エネルギー戦略 |
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■安定供給天候予測し確立を : |
スペインは自然エネルギー30%・ |
スペインでの全体発電量は2010年2881億キロワット時、東京電力と同規模である ・ 水力を含む自然エネルギーが35%(日本は太陽光風力1%、水力8%)を占め、火力32%、原子力22%を上回る ・ 1990年代後半国内のエネルギー競争力のある企業を育てようと、風と太陽に目をつけ開発、2004年太陽光の買い取り価格を高く設定した ・ それで太陽光の施設が急拡大、太陽光バブルとなり、2008年経済危機となり買取価格を下げることとなって、今は裁判沙汰、補助金ばらまきなど起きている |
風力の多い時は電力輸出も |
天気予報などの情報を駆使して発電量を予測し、風や太陽光で発電される電力を最優先して使っている ・ その脇役が石炭、ガス、水力発電である ・ 風が多いときは、脇役を減らし、それでも電力が余るようならば、電力をフランス、ポルトガルへ輸出する ・ 強い風が吹き、電力消費量が少ないときには輸出している ・ スペインにみる再生可能エネルギー |
日本は技術ある意志がない・ |
日本は季節によって天候が変わりやすく、スペインより天候予測が難しいとされる ・ その中で、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)は風力発電量を予測するシステムを開発した ・ 当面は火力、水力を調節して自然エネルギーを増やすことはできるという ・ 技術、システムはあるのであとは意志の問題だ |
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■安くなる太陽光発電 : |
再三のとれるのは10年後・・・・・・・ |
膨らむ原発コストに対して自然エネルギーのコストは着実に下がる ・ 家電や住宅の業界は国の支援策を追い風に、こぞって太陽光パネルの販売に力を入れている ・ 設置には国の補助金が出るが1キロワットあたり60万円以下の製品でなければ支給されない ・ しかし売電によって元のとれるのは10年後 |
原発1基分の発電漁確保・・・ |
10年度のパネルの国内出荷は原発1基分の能力に相当する100万キロワットを突破した ・ 自然エネルギーの拡大は、化石燃料の輸入を減らすことになる ・ 欠点の不安定さはIT技術の活用で乗り越える努力が重ねられている ・ 孫さんの「再生可能エネルギーに向けて」 |